陰謀論になびく「黄色蛍光ベスト」

土曜日ごとにパリなどフランスの各地で抗議デモを実施し、破壊行動を伴う騒乱を招いている「黄色蛍光ベスト」運動の参加者の間で、一連の陰謀論が浸透している。最も顕著なのはストラスブール市で11日に起きたテロ襲撃事件をめぐる陰謀論で、15日に予定される新たなデモを阻止することを狙いとして、当局が裏で仕組んだ襲撃だとの批判が運動のリーダー格の人物などによりネットを通じて流布されている。
また、モロッコのマラケシュで開かれた国連政府間会議で採択された国連移民協定をめぐっても、仏政府が協定を支持したことは「売国行為」だとの批判が「黄色蛍光ベスト」運動の参加者から出ている。これは、政府が資本主義者の利益を擁護するために、賃金や労働条件に文句を言わない従順な移民労働者を多数導入して、西欧の白人労働者を排除しようとしているという陰謀論に基づいている。
こうした陰謀論の浸透について、集団的信憑の研究を専門とする社会学者のジェラルド・ブロネル氏(パリ第7大学教授)は、ルモンド紙とのインタビューで、「黄色蛍光ベスト」運動の参加者が特に陰謀論に傾きやすいというわけではないだろうが、ネットを通じて広まった運動だという特色があるため、ネット上で流布される偽情報に影響されやすい側面があると指摘。また自らを「黄色蛍光ベスト」と規定する者のうち、前回の大統領選挙で極右候補に投票した者が4割を占めるという世論調査の結果もあり、極右支持者の割合が大きいことが国連移民協定に関する陰謀論を受け入れる素地になっているとも推定している。