マクロン大統領、購買力増強の措置を約束

マクロン大統領は10日夜、国民向けのテレビ演説を行った。13分間に渡り、購買力増強を目的とした新たな措置を説明した。
燃料価格への抗議を発端に始まった「黄色蛍光ベスト」の抗議行動が4週目を迎え、批判の矛先は、マクロン大統領の「傲慢な態度」と、「不平等な社会と国民が陥っている窮状」に移っていた。大統領は、今回の演説で、国民の声に耳を傾ける姿勢を示すことで、事態の打開を試みた。また、勤労者が就労によりしかるべき生活ができるような社会の実現に努めるとして、新たな一連の措置を予告した。
まず、低所得の勤労者を対象にした手当「プリームダクティビテ」を2019年から増額すると予告。法定最低賃金(SMIC)の場合で月額100ユーロの増額になるとし、これにより、企業側の負担を増やすことなく、勤労者の所得を増強すると説明した。次に、超過勤務に係る社会保険料及び租税を2019年初頭から撤廃すると予告した。また、発表済みのボーナスに係る非課税枠の導入(任意制度)についても確認した。大統領はこれに加えて、年金受給者のCSG(社会保障会計の財源となる目的税)増税の見直しを約束。2018年年頭に施行されたCSG増税を、年金受給額が2000ユーロ未満(独身者の場合)の者について、2019年から廃止すると予告した。
大統領はこれらの措置の財源については明らかにしなかったが、ISF(連帯富裕税)復活の可能性は否定。その上で、大企業の経営者にしかるべき納税を求め、また、大企業はフランスにおける事業に係りしかるべく納税をするべきだと言明した。発表済みの措置(燃料税増税の断念等)を含めて、一連の措置による2019年の収入欠損は110億ユーロに上るものと見られている。その一方で、経済成長は減速傾向にあり、このままだと、財政赤字の対GDP比は3.5%程度まで膨張する恐れがある。なお、ルメール経済相は10日朝、抗議行動の経済への打撃について、10-12月期のGDPを0.1%押し下げるとの予測を示した。フランス中銀は、10-12月期の経済成長率(前の期比)を0.4%から0.2%へ下方修正しており、2018年通年の政府公式予測である1.7%の達成は絶望的となった。
大統領の発表について、「黄色蛍光ベスト」の参加者らの多くは、不十分な内容だと主張し、抗議行動を継続すると語っている。大統領の辞任を要求する声が上がっており、左翼政党「不服従のフランス」を率いるメランション下院議員などは、熱心に解散総選挙を要求している。