「黄色蛍光ベスト」のデモ、8日に再び実施

12月8日(土)に燃料価格高騰に抗議する「黄色蛍光ベスト」によるデモが再度行われた。全国各地で合計13万6000人が何らかの抗議行動に参加した。
土曜日のデモはこれで4回連続となった。1日の3回目のデモでは、パリ・シャンゼリゼを中心とする地区で暴動騒ぎに発展し、内外に衝撃を与えた。警察は今回、8000人の警察官を動員して厳戒態勢を敷いて対応。パリ市内ではメトロが一部運休となり、一部の地区の駅は閉鎖されるという異例の措置も講じられた。当局は、パリの要所で持ち物検査を行い、凶器として利用可能な物品を押収すると共に、予防的な見地から合計で1939人を逮捕(うち1000人程度がパリ)。治安部隊には今回初めて、装甲車も投入されて、バリケードを排除するなどの目的に用いられた。こうした特別態勢の効果もあって、パリ市内のデモでは、先週のデモと比べて、破壊・略奪行為の発生はごく限定的だった。ただし、これまでは被害がなかった地区(レピュブリック広場、モンソー公園周辺など)でも破壊・略奪行為が発生した。また、これまでとは異なり、地方の都市での衝突が目立ち、特にボルドーでは警官隊とデモ隊の間で激しい衝突が発生。トゥールーズ、ナント、サンテティエンヌ、マルセイユでも被害が出た。
これを受けて、マクロン大統領は10日、労使や地方自治体、国会などの代表を集めた協議会を招集。同日夜には、テレビなどを通じて見解を明らかにする。抗議行動の開始以来で、マクロン大統領が発表を行うのはこれが初めてで、どのような発表がなされるかが注目される。抗議行動は、燃料価格の高騰に端を発したが、現在では、課税水準の高さと低所得層の窮状を主に訴える抗議行動に変容しており、マクロン大統領の態度を傲慢であると非難、大統領が推進する上からの改革を、一方的に決定を押し付けるものだとする抗議の声が上がっている。これらに大統領がどう対応するかが今後の行方を左右するものと考えられる。政府部内では、住民税廃止の前倒し実施、プリームダクティビテ(低所得の勤労世帯向けの手当て)の増額、年金最低保障額の底上げといった措置が準備されている模様。既に発表済みの燃料課税引き上げの見送り(40億ユーロ相当、対GPD比で0.2%分)をはじめとして、支出拡大につながる一連の措置を決めれば、そのままでは財政赤字の膨張は避けられない。経済成長が減速する中で、政策運営の余地は極めて小さく、財源確保の措置も必要になる。
4回目を迎えた抗議行動は、既に極めて大きな打撃を経済に与えていると考えられる。ルメール経済相は11日、パリ市内で被害が大きかった地区を訪問した機会に、正確な推計を示すことはまだできないが、小売部門を中心に多大な影響が出たと言明した。書き入れ時である歳末の土曜日に閉店を迫られた影響に加えて、抗議行動により物流面でも影響が出ている。小売業連合会FCDのクレセル代表は、実店舗が営業中止や客足が遠のいた影響を被る中で、アマゾンのような大手ネットショップの一人勝ちという状況になっていると指摘している。
4度目となった抗議行動は、外国でのフランスやマクロン大統領のイメージに大きな打撃を与えている。その一方で、英タイムズ紙などは、「黄色蛍光ベスト」の運動がここまで盛り上がった背景には、ロシアによる情報操作があると報道。この問題にはフランス当局も関心を示しているという。報道によれば、ロシア系のツイッターのアカウントが多数、治安当局による暴力行為があったと糾弾する虚偽の写真や動画を大量に流しており、ロシア系の報道機関(Sputnik、RTなど)も、警察官のかなりの部分がマクロン大統領を見限り、デモ隊の側についた、などとする情報を配信している。ロシアのメディアはその一方で、抗議行動を後押ししているのはトランプ米政権であるとして、米国の暗躍説も流布している。