イタリア:ジェノバで陸橋が崩落、43人が死亡

イタリアのジェノバで14日、高速道路10号線の陸橋モランディ橋が崩落する事故が発生した。19日発表の集計では43人が死亡する大惨事となった。
14日の事件当時は悪天候で豪雨と強風が地方を襲っていた。その中で、11時40分にモランディ橋を構成する主塔(高さ200メートル強)の一つが倒壊し、その塔が支えていた桁(地上45メートル)が落下した。道路を通行していた30台余りの乗用車と、大型車両数台が桁ごと落下し、多数の死傷者を出した。
モランディ橋は全長1.18km、1960年代末に完成した。構造上の問題が以前から指摘されており、この数年間にも、経年劣化の影響を含めて、倒壊のリスクを指摘する専門家の意見なども出されていたが、対策が間に合わないまま今回の惨事に至った。現政権の中核を担う左派系のポピュリズム政党「五つ星運動(M5S)」は、2013年の時点で、モランディ橋倒壊のリスクは作り事とし、代替の陸橋建設計画に反対する論陣を張っており、事件は政治的な論争にも発展している。
サルビーニ内相(極右「同盟」所属)は16日の時点で、高速道路10号線の運営を受託するアウトストラーデ社(アトランティア社傘下)の責任を追及すると共に、欧州連合(EU)が押し付ける財政規律のせいで人命を守るための投資が困難だったなどと述べて、EUに責任を転嫁する発言をした。これに対して欧州委員会のエッティンガー委員(予算担当)は同日にただちに反論。インフラの開発や保守などの優先課題を決めるのは加盟国の権限に属するとした上で、EUはイタリアの道路・鉄道インフラ向けに2014-20年の現行予算期間中に25億ユーロの支援を予定していると指摘。また、去る5月の時点で、EUは、イタリアの道路建設・保守予算が2007年から2015年にかけて62%の減少を記録していることを指摘した上で、予算の拡大を勧告する報告書を公表したばかりだった。
イタリア政府はこの件で、事故が起きた区画のコンセッション契約を破棄し、コンセッション業者であるアウトストラーデの責任を追及する方針を発表。会社側は18日、被害者への補償などを目的に5億ユーロの基金を設立すると発表、また、「8ヵ月」で代替の陸橋を建設すると予告したが、政府は、契約破棄の方針を貫き、復旧はアウトストラーデ抜きで進めると発表している。アウトストラーデを傘下に収めるアトランティアは、ベネトン一族が筆頭株主を務め、イタリアの高速道路コンセッションの50%を保有する大手。フランスでも先頃、スペインのACSと結んで高速道路運営会社SANEFを含む資産を買収している。事件と政府の発表を材料に、アトランティア株価は16日に一時25%の急落を記録。同社は、契約破棄の場合は残存資産の補償が行われるため、イタリア政府の側に数十億ユーロの費用が発生するなどと発表し、事件の影響を相対化すべく努めている。