ネアンデルタール人も洞窟画を制作か

現在の人類の直接の祖先ではないと考えられている、いわゆる「旧人」に属するネアンデルタール人も洞窟画を描いていたとする研究結果が、23日付の専門誌サイエンスに掲載された。この研究は、独マックス・プランク研究所のホフマン研究員が中心となり行った。スペイン国内の3ヵ所の壁画洞窟内の壁面を覆う石灰岩の被膜を採取し、年代決定を行ったところ、多くの壁面は4万年前程度という従来の定説と合致したが、数ヵ所では6万4800年以上前という結果が得られた。現在の人類につながる「新人」がこの地方に現れたのは4万年から4万5000年前であり、年代決定の結果は、それ以前にこの地にいたネアンデルタール人が壁画を描いたことを示唆している。これが正しければ、ネアンデルタール人には象徴的な思考をする能力があり、認知能力の点で新人と大差はなかったという結論になる。
年代決定は、ウラン238の崩壊により生じるウラン234とトリウム230の比率を調べることによりなされた。時がたつほどトリウム230が増大するため、トリウム230の比率が高いほど年代が古いことがわかる。今回の研究結果については、トリウム230と異なり、ウラン234は水溶性であるため、浸食を経て溶出するリスクがあり、これを考慮に入れないと、トリウム230の比率が本来の水準より高くなり、誤って古い年代が推定されるという問題があると指摘する向きもある。今回の研究は他の測定方法を併用していないため、リスクはそれだけ高くなるという。とはいえ、ネアンデルタール人の文化水準は従来考えられていた以上に高かったという知見は近年の研究成果で定着しつつあり、今回の研究の成果もそうした流れの中に位置づけられる。