大統領選:5候補による初のテレビ討論

民放TF1は3月20日夜、大統領選の有力5候補(マリーヌ・ルペン、フィヨン、マクロン、アモン、メランション)を集めたテレビ討論を放送した。3時間30分に及ぶ討論が行われた。
討論は比較的落ち着いた雰囲気で行われ、共和党のフィヨン候補の架空雇用問題をはじめとする事件関係の言及や攻撃はほとんどなかった。フィヨン候補は全体として舌戦の中心に立つのは避けつつ、経験と真剣さのある候補としての印象を強めることを狙った。また、マリーヌ・ルペン候補やマクロン候補とは異なり、大統領として議会でまとまった勢力を頼みにできるのは自分だけだとも強調した。社会党のアモン候補は、最低限所得保障手当の導入などの公約を掲げ、攻撃的な姿勢で議論を展開することを狙った。極右FNのマリーヌ・ルペン候補は、合法的なものを含めて移民をストップし、欧州連合(EU)の圧制から逃れるなどと自説を展開し、存在感をアピールした。左右のいずれの陣営にも属さない改革派を糾合すると主張するマクロン候補(「アン・マルシュ」)は、今や最有力候補であるだけに、各候補から批判の矢を向けられることも多かったが、それをむしろ力として、若く斬新な政治勢力を代表するイメージを売り込むことを狙った。左派色が強いメランション候補(「不服従のフランス」)は、アウトサイダーとして他の候補らに噛み付きつつ、観衆から笑いを取ることでは他の候補を凌いだ。
この種のテレビ討論では、大きな失敗をしない限りは大勢に影響は出ないのが通例で、その意味では勝者も敗者もないイベントだったという印象が強い。討論後に発表されたBFM TV(ニュース専門テレビ局)依頼の世論調査によると、「最も説得的だった候補」はマクロン候補で、全体の29%が同候補の名前を挙げた。以下、メランション候補が20%、フィヨン候補とマリーヌ・ルペン候補が19%で並び、アモン候補は11%と低かった。週刊誌ルポワンの依頼で行われた世論調査では、マクロン候補が25%でトップ、これにマリーヌ・ルペン候補とフィヨン候補が19%で並んで続き、メランション候補は15%、こちらでも最下位はアモン候補の10%だった。