タピ事件:ラガルドIMF専務理事に「職務怠慢」で有罪判決

共和国法廷(CJR)は19日、タピ事件を巡る裁判で、当時のラガルド経済相(現IMF専務理事)に対して、職務怠慢にて有罪判決を言い渡した。ただし、刑罰は命じず、犯罪歴としての登録も行わないことを決めた。国際通貨基金(IMF)は同日に開いた理事会でラガルド専務理事の全面的な支持を確認、ラガルド氏は控訴しない方針を明らかにした。
タピ事件とは、実業家のベルナール・タピ氏が、保有していたアディダス(スポーツ用品)を売却した際に間に入った国営クレディリヨネ銀行が不当な利益を着服したと主張し、クレディリヨネ銀行清算団と争ったもので、タピ氏は2008年、ラガルド氏が経済相を務めていた当時に、仲裁裁判を経て4億ユーロに上る賠償金を得た。その後、仲裁判事とタピ氏の間の癒着疑惑が浮上し、タピ氏らの公金横領容疑の訴追が開始されている(現在係争中)。ラガルド氏は、経済相として仲裁裁判の利用を決め、巨額の賠償金支払い命令を受けても異議申立てをしなかったことが、職務怠慢に当たるとして起訴されていた。閣僚が職務遂行の過程で犯した犯罪を裁く特別法廷である共和国法廷で裁判が行われた。
裁判所は判決で、仲裁裁判の利用を承認した点については不問に付したが、賠償金支払い命令に異議申立てを行わなかった点について、仲裁裁判の判決文を自ら読まなかったことや、反対意見がある者を交えずに会合を開いて対応を協議したことなどを挙げて、プロの弁護士であるラガルド氏として、十分な対応をしたとはいえないと認定。職務怠慢に相当すると認定し、有罪判決を下した。ただ、有罪と認定したのみで刑罰は一切言い渡さなかった。
今回の判決について、中道野党MODEMのバイルー党首は、刑罰が伴わない有罪判決はいびつだと切り捨て、被告人により扱いが違うのは不当だと批判した。特別法廷の存在そのものを不公平と批判する声も聞かれた。その一方で、法曹関係者からは、「職務怠慢」のような犯罪の追及を始めると、同種の案件が大幅に増える可能性があり、行政のあり方そのものが揺さぶられる恐れがあると懸念する声も聞かれる。