共和党大統領候補予備選:フィヨン元首相が首位、ジュペ元首相と決選投票へ

共和党は21日、大統領候補選出の公選の第1回投票を行った。同日夜の開票結果(暫定値)によると、フィヨン元首相が44%の得票率を達成してトップとなり、第2位のジュペ元首相(28%)と1週間後に決選投票を争うことが決まった。有力候補だったサルコジ前大統領は得票率が21%で3位となり、決選投票に残れず敗退した。投票者数は400万人を超え、予想以上の数字となり、関心の高さをうかがわせた。
投票前の世論調査では、ジュペ元首相が最有力候補で、フィヨン元首相は直前になり大きく追い上げているという構図になっていた。中にはフィヨン元首相がトップで折り返すとする世論調査もあったが、これほどの大差でフィヨン元首相が優位に立つとは予想外だった。番狂わせはこのところの世界の選挙における趨勢ともなっているが、この選挙ではフィヨン元首相が変化を望む有権者の気持ちを体現し、番狂わせを実現した。
フィヨン元首相は開票結果発表後に支持者らを前にあいさつし、明確で踏み込んだ政策案を一貫して訴えてきたことが実を結び、有権者から支持を得ることができたと感謝の念を表明。この勢いでキャンペーンを一層加速し、決然とした政権交代を目指すと述べて、決選投票を争うジュペ元首相の「穏健」路線を暗に批判した。フィヨン元首相は政策案で、公務員数の削減目標を他の候補より高めに設定、年金改革などでも踏み込んだ姿勢を示しており、自由主義的な色彩の強い立場を明確にしていた。これが終盤になり、保守の有権者層を掘り起こすことにつながったと考えられる。
対するジュペ元首相は、開票結果の発表後に支持者を前にあいさつし、決選投票に向けて全力を尽くすと宣言。オランド政権の失策の後で、国は一丸となって回復の道を進む必要があると強調。自らを、国民を幅広く結集できる候補としてアピールするとともに、極右勢力に対する防波堤として、自らが最も有力な候補者であることを強調した。ジュペ元首相はこの切り口から、中道勢力や左派有権者まで支持を集める戦略を展開、特に、反サルコジ票を最大限に取り込むべく、選挙キャンペーンにおいては政治家としての経験と穏健な立場を強調してきた。この戦略は一定の成功を収めたが、それに飽き足らず、煮え切らない思いを抱いた保守層が多数、サルコジ前大統領を回避してフィヨン元首相の支持に回ったことが今回の選挙結果をもたらしたものと考えらえる。決選投票においては、サルコジ前大統領が落選した今、反サルコジの左派有権者が投票所に足を運ぶ理由はなくなった。既に差がかなり開いているだけに、挽回はかなり難しくなる。
最大の敗者は何と言ってもサルコジ前大統領で、決選投票に残れず敗退という屈辱を受けた。タカ派の姿勢を強調し、保守層の掘り起こしで支持を伸ばす戦略だったが、大統領経験者が「反システムの候補」を名乗ることに空々しさを覚えた有権者も少なくなかったはずで、強固な支持層を超えて支持を広げることはできなかった。反サルコジの圧力も予想以上に大きく、変化を望む層はフィヨン元首相への支持に回った。サルコジ前大統領は開票結果の発表後、支持者らを前に、政策面でより近いのはフィヨン元首相だと述べて、投票は自由としつつフィヨン元首相への投票を自らの支持者らに呼びかけた。前大統領はまた、過激勢力の支持には向かわないでほしいと支持者らに呼びかけ、自らは政界から退く考えを示唆した。ただ、前大統領の人柄からして、このまま引退するとも考えにくい。
第4位には、僅差ではあるものの、コシュスコモリゼ元エコロジー相(女性)が得票率2.5%で入った。一時はフィヨン元首相と第3の男の地位を争っていたルメール前農相は5位にとどまった。コシュスコモリゼ氏は決選投票ではジュペ元首相に投票するよう、ルメール氏はフィヨン元首相に投票するよう、それぞれ呼びかけた。