ゴッホの未発表デッサン刊行、贋作の疑いも

ゴッホの未発表デッサン65点を集めたという画集が世界数ヵ国の出版社により同時出版された。フランスではスイユ社が17日に刊行した(69ユーロ、288ページ)。15日の時点で、アムステルダムのゴッホ美術館は、これらのデッサンをゴッホ本人のものではないとする見解を発表、論争となっている。
問題のデッサンは、一冊のデッサン帳にまとめられていたもので、これはゴッホが南仏アルル時代(1888-1890年)に描き、懇意だったカフェの経営者だったジヌー夫妻に贈られたものだという。デッサン帳はタジャン画廊などで勤務経験がある美術品専門家のフランク・バイユ氏らがトロント大学のボゴミラ・ウェルシュオフチャロフ名誉教授(美術史)の元に持ち込み、同教授の序文などとともに刊行された。デッサン帳がジヌー夫妻に渡った経緯は、夫妻の経営していたカフェ・ド・ラ・ガールに備え付けの落書き帳にその旨の書き込みが残っていたことで確認されたといい、ジヌー夫妻の子孫に渡り、長らく忘れられていたものがこのほど再発見されたという。
しかし、ゴッホ美術館の専門家は、知られている限りこの時代にゴッホが使った事例がない茶色のインクにより描かれている点を挙げつつ、ゴッホが弟のテオに送った書簡中の詳細な作品リストにも一切記述がないことから、これがゴッホの作であるとは考えられないとの判断を示した。デッサンがゴッホの現存の作品とモチーフ等が共通しているという点も、むしろ後から真似して別人が描いたものであることを示唆しているという見方で、模写した場合に出ることが多い筆の運びも見受けられるという。
ゴッホは取引価格が高いことから、特に贋作が多く出回る画家として知られる。