当局の誤りで国籍抹消の不条理

ルモンド紙は15日付で、行政当局の誤りにより国籍を失った移民系の女性の珍しい事例を紹介した。この女性は、ザイール(現コンゴ民主共和国)出身で現在は30才。12才だった1998年に、家族とともにフランスに移住し、家族揃っては2004年3月に仏国籍を取得した。その際に、なぜかこの女性だけ帰化者のリストを公示する政令から名前が漏れていたが、当局機関はこれを何かの手違いだとして、2004年5月には戸籍登録を行い、以降、問題なく身分証やパ スポートの発行を続けてきた。しかし、2013年になり、当局は、公示政令に名前がないことを理由にパスポートの更新を拒否した。実際、この女性は、両親の帰化時には18才を超えており、この場合、子供としての国籍付与は認められず、当人が帰化申請を行う規定になっている。当局の中で、ある時にこの問題に気付いた人がいたと見えるが、こうなると、一旦動き出した機械は止まらず、検察当局による請求を経て、この女性の戸籍登録は抹消され、10月13日付で本人に通知がなされた。当局側は、帰化申請をすれば問題なく認められると当人に通知したが、2004年の戸籍登録の時点でザイール国籍は抹消されており、この女性は戸籍登録の抹消を経て書類上は無国籍者であるため、帰化申請をしようとしてもすることができない状況に追いやられた。こうした場合には、ほとんど知られていない国籍推定の手続きがあり(民法典第21-13条)、事実上のフランス人として10年を超える実績がある者はその認定を裁判所に求めることができる規定になっている。一般の弁護士は知らないような規定であり、この女性が簡易裁判所に申請に行った時も、裁判所の人さえ知らないと答えたほどのレアな手段である。フランスの法律体系の完備ぶりを示す例ともいえるが、過去の当局の手違いで不利益がこちらに及ぶというのだから油断がならない。