パリ副都心ラデファンス地区の運営組織AUDEは1日に、関係者らを集めた会合を開いた。その機会に、同地区の将来に関する報告書が公表された。空室が増えており、このままだと存続の危機に直面するとの厳しい内容となった。
ラデファンス地区は1960年代に整備が始まったビジネス地区で、パリ首都圏でも随一の規模を誇っている。ただし、最近では不振が目立っており、2年来の空室率は15%と、2018-19年の5%未満から大きく上昇している。この集計からは、市場に出る前の段階の物件が除外されており、これを含めると空室率は実に19%まで上昇する。しかも、一部の高層ビルでは、物件の45%までが事実上の値引きで賃貸されており、それでも空室率が上昇しているのは不振の厳しさを物語っている。
ラデファンス地区の不振は、オフィス不動産市場全体の不振の反映でもある。新型コロナウイルス危機を経て、リモート勤務が大きく拡大。一時は平均で週2.3日間に達した。現在ではこの数字は1.5日間まで下がっているが、それでも、コロナ前と比べてはるかに高い水準にある。企業は不動産戦略の見直しを進めており、需要が冷え込んでいる。ラデファンス地区の場合は、オフィス施設が古くなり、規格に適合しなくなるものが増えつつある中で、必要な投資資金を確保しにくくなっていることが問題となっている。住宅や、特に教育機関を誘致して混成的な地区に鞍替えすることが解決策の一つになるが、規制上の制約が改装を難しくしているという事情もある。AUDEでは、規制の緩和に加えて、税制優遇措置の導入によるファイナンス面での支援などを求めている。