EU、米国の税制改革に懸念強める

EUは20日の財務相理事会で米国の税制改革が欧州にもたらす影響について協議し、欧州委員会に対して早急に影響調査を実施するよう要請した。米国ではトランプ大統領の提案により法人税率の大幅な引き下げなどを定めた税制改革法が昨年末に成立し、国際的な減税競争の再燃が予想されている。EU加盟国は、米国の新制度が二重課税の回避を目的とする国際的取り決めや、世界貿易機関(WTO)のルールに違反する可能性もあるとみて、「あらゆる対抗策を検討する」(ルメール仏財務相)構え。
なお、EUではアイルランドなどが他の加盟国より低い法人税率で多国籍企業の誘致を進めるなど、域内レベルでの減税競争がすでにあり、米国が減税競争に参戦したのを機に、域内での競争にも拍車がかかることを懸念する向きもある。こうした状況で、独仏両国は、EU加盟国が互いに足を引っ張り合うことなく、結束して米国に対抗できるように、域内で法人税に関する共通課税標準を導入することを改めて提案した。まず両国間で年内に共通化を進める方針。
EUレベルでの共通課税標準は従来からの懸案だが、税制に関する決定には全加盟国の賛同が必要なために、実現が難航している。しかし米国との競争という新たな脅威が加わったせいもあってか、20日の会合では複数の加盟国が独仏の提案に関心を表明したという。提案に対する抵抗が予想されるアイルランドなどに対しては、他の政策分野で当該国の利益につながる譲歩を提案することで、同意を勝ち取る必要があるとみられている。また独仏が強い指導力を発揮するためには、ドイツでの連立合意が成立することも必須条件となる。