「包摂的表記」が台頭、批判も

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このところ、「包摂的表記」などと呼ばれるフランス語の新表記法の採用が目立っている。男女平等の理念を表記の上で明示するという趣旨の慣行だが、保守系日刊紙のルフィガロなど反対派はフランス語の破壊であるとして反発している。
フランス語には男性名詞と女性名詞の区別があり、これとも連動する形で、職業名も男女を区別することが多い。例えば弁護士は男女共用でavocatというが、女性形としてavocateということができる。複数形の語尾は英語と同様にsを用いるが、伝統的には、男女両方が含まれる場合、男性形で代表させて「les avocats」と表記するのが通例となっている。「包摂的表記」においては、これを例えば「les avocat.e.s」と綴ることが推奨される。
保守派の反発はさておき、こうした新表記については、懐疑的な見方や批判的な見方も多い。まず、どのように発音するのかが不明で、発音から乖離した表記を規範として押し付けるのはいかがなものかという批判がある。また、上記のような例ならまだしもわかりやすいが、男性形と女性形がかなり違うような単語では、判別もしにくくなる。例えば、農民(agriculteur)の場合は、女性形がagricultriceであるから「包摂的表記」においては「agriculteur.trice」の如きになり、異様な印象がある。さらに、フランス語の場合、形容詞にも性数で変化するから、形容詞がつくと一段と煩雑になる。別な観点からは、女性の存在が反映される表記を目指すというなら、「トランスジェンダーの私はどうなる」といった権利主張にもこたえてゆかなければならなくなる。