警察官による身分証の提示命令の適用対象が拡大へ

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ルモンド紙は、政府が提出した治安法案により、警察官が身元確認の職務質問を行える地理的範囲が大幅に拡大すると報じた。
欧州連合(EU)域内の国境廃止に伴い、フランスでも国境検問所が1993年に廃止されたが、それに伴い、国境から20km以内の地域と、空港・港湾施設・鉄道駅の内部などで、警察官が通行人に身分証を提示させて、身元確認を行うことが認められるようになった。本来、身分証の提示の命令は、裁判官が承認した作戦行動(時間と地区が限定される)の場合にのみ行えるが、上記の地域内においては、警察が自らの決定によりこれを行うことができる。2015年11月に発生したパリ同時テロの直後、政府は非常事態宣言を発令し、国境検査の再開を決めたが、非常事態宣言はこの11月に解除されることになっており、政府はその後の治安体制の確立を目的に法案を策定、その中に、身分確認の職務質問の適用拡大も盛り込まれた。具体的には、空港や主要鉄道駅などの内部だけでなく、そこから半径20kmの地域内で、警察が自らの判断で身分証の確認を行う作戦を実行できる。また、作戦の期間の上限も、従来の6時間から12時間に引き上げられる。
ルモンド紙によれば、これだと国土のうち28.6%の地域で警察が自由に身分証の確認を行うことが可能になり、人口でいえば67%が範囲内に居住する計算になる。政府はこの措置を、テロ対策・越境犯罪対策の一環で提案しているが、不法滞在者を見つけ出し、本国に送還することを容易にすることも目的だと考えらえており、市民団体などは憂慮の念を表明している。法案は既に上院を通過しており、近く下院での審議が始まる。