G20サミット、マルチラテラリズムにほころび

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7月7日と8日にドイツ・ハンブルクで開催されたG20サミット(主要20ヵ国・地域首脳会議)では、保護主義やバイラテラリズムを優先するトランプ米大統領がもたらした不協和で、本来の目的であるマルチラテラリズムにほころびがみられた。最も注目されたのはサミットを利用して行われたトランプ大統領とロシアのプーチン大統領の初会談であり、また貿易自由化や気候変動対策では米国の孤立が目立った。
テロ対策については参加国の足並みが揃ったが、貿易に関する宣言では、米国が譲歩して、保護主義との闘いを明記しつつも、ダンピングなど不当な貿易慣行に対する「正当な対抗措置」の行使が認められ、米国の立場にも配慮した玉虫色の内容となった。
鉄鋼に関しては、やはりトランプ大統領が米国の鉄鋼部門を保護するために、欧州などからの輸入品に関税を適用すると警告しており、こうした貿易紛争を回避するために、年内に過剰生産を解消する方針が確認された。8月までに情報交換を進め、11月を目処に対策を発表する見通し。
気候変動対策では、パリ協定協定離脱を決めた米国を除く19ヵ国が協定を「不可逆的」なものと認め、実行に移すことで合意した。米国に対しては、「クリーンである限り」化石燃料を利用する可能性を認め、譲歩した恰好となった。
メルケル独首相が重視するアフリカ支援についても、移民・難民の削減を目的に、アフリカ経済を支援する方針が決まった。ただし、現状では支援の対象は、すでに投資の誘致が活発な7ヵ国のみであり、しかも、これらは必ずしも移民・難民の主要な流出源ではないなど、表面的な合意にとどまっている。
なお、トランプ大統領はハンブルクに赴く前にポーランドに立ち寄り、その際に、ウクライナ問題や中東問題(シリアやイランの政権に対するロシアの支援)について、ロシアに厳しい警告を発していたが、サミットの機会に行った会談では、シリア南西部の停戦などについて合意し、中東問題について今後もロシアとの協力を図りたいと歩み寄りの姿勢を見せた。またプーチン大統領のことを非常に褒め称えるなど、相変わらず予測が難しい振る舞いを見せた。