マクロン新大統領、14日に正式就任へ

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7日の大統領選で当選を果たしたエマニュエル・マクロン候補は、14日に大統領官邸でオランド大統領との間で引き継ぎを行い、同日に正式に大統領に就任する。マクロン新大統領は同日中にも首相の人選を発表する見込みで、新大統領が誰を首相に選ぶかが注目されている。マクロン氏はこれまで、議会の運営に関する深い経験を有する人材を選びたいと語っており、具体的な名前も念頭にあると述べているが、本人にもまだ打診していないといい、その人選が様々な憶測の対象になっている。「左右の改革派を糾合する」という看板に即して保守系の人材を選ぶという見方があり、具体的には、オードセーヌ地域圏のベルトラン議長や、ルアーブル市市長を務めるフィリップ下院議員(共和党ジュペ派)などの名前が取り沙汰されている。保守系の人材を登用することは、共和党と中道UDIを一部切り崩して自陣営に引き入れる準備にもなる。それ以外では、選挙戦中盤からマクロン氏を担いだ中道MODEMのバイルー党首や、保守系の元政治家で国鉄SNCFなど公共部門企業のトップを歴任したイドラック氏(女性)、MODEM所属でかなり早い時期からマクロン氏を支持してきたグラール欧州議員(女性)などの名前も挙がっている。ルドリアン国防相(社会党)や、マクロン候補の番頭役を務めてきたフェラン下院議員も有力候補と目されている。

どうなる総選挙
マクロン次期大統領にとっては、6月11日と18日に行われる総選挙において政権基盤を確保することが当面の課題となる。総選挙は577議席を対象に小選挙区・2回投票制で行われる。第1回投票で過半数を超える候補者がいれば決選投票を待たずに当選、そうでない場合には、有権者数の12.5%以上の得票を達成した候補者の間で決選投票が争われる。決選投票の進出は辞退が認められる。マクロン次期大統領は政党の支援を受けずに立候補して当選した異色の存在だが、マクロン氏が旗揚げした政治運動「アン・マルシュ」は8日、「ラ・レピュブリック・アン・マルシュ(進め、共和国)」の名称で政党に鞍替えされ、臨時党首としてカトリーヌ・バルバルー氏(女性)が就任した。総選挙への立候補者の選定は以前から進められており、選定委員会の座長には保守系の政治家であるドルボワ氏(閣僚や共和国調停人など歴任)が就任している。11日には、全577選挙区において候補者が擁立されることになっており、その選定は、市民社会の代表(議員職の経験がない)を半数とするなどの基準に沿ってなされる。

社会党は分裂の危機
総選挙への対応は、左右の大政党である共和党と社会党にとっても困難な課題で、両党は共に、大統領選挙での敗北を経て、分裂の危機に直面している。社会党では、バルス前首相が8日に、総選挙では「進め、共和国」から立候補したいと言明し、物議を醸した。バルス前首相はマクロン氏が経済相を務めていた頃から厳しく対立していたが、社会党の予備選でアモン候補に敗れて以降は、アモン候補に反旗を翻して「はぐれ軍団」的な立ち位置に転じ、大統領選の第1回投票からマクロン候補への支持を表明するなど暴れていた。マクロン氏の側では、これまでのいきさつもあり合流の申し出には冷ややかな反応をしているが、この一件はいずれにせよ、社会党の分裂模様が決定的になったことを印象付けた。もともと社会党は様々な派閥からなる寄り合い所帯で、これが党としてまとまっていたのは、長らく第一書記(党首)を務めてきたオランド現大統領の折衷主義的なコンセンサス配慮の党運営によるところが大きい。そのオランド・マジックがなき今となっては、党内の亀裂修復はもやは不可能にも見える。一方ではマクロン政権ににじり寄るバルス前首相らの党内右派があり、他方では、共産党や緑の党、さらにはメランション氏の「不服従のフランス」との糾合の道を呼びかけるアモン氏ら左派グループがあり、党は両極端の方向に引き裂かれつつある。カンバデリス第一書記ら中間派は、マクロン政権の成功に是々非々の立場で建設的に貢献するためにも、社会党が結束を守ることが大切だと強調しているが、これから総選挙に至る期間が正念場となる。

共和党は挽回をかけて総選挙に臨む
共和党も似たような問題を抱えている。共和党の執行部は9日に会合を開き、選挙公約の修正を実施。落選したフィヨン候補の公約から、不人気だった要素を削ったり(付加価値税VATの税率2ポイント引き上げなど)、修正する(公務員数50万人削減の目標の達成期間を5年間から7年間に延長する、など)一方で、動員力のある公約を追加(残業手当の減税措置の復活など)することを決めた。総選挙のキャンペーンを率いるバロワン元財政相は、マクロン新大統領と協力する者には総選挙での公認を与えず、対立候補を立てると警告しているが、予備選を争ったルメール前農相は7日の当選発表の時点で既に新政権に協力する可能性を示唆しており、波乱含みの展開となっている。そうした中、決選投票に向けてマクロン候補支持を打ち出していた共和党のエストロジ氏は、プロバンス・アルプ・コートダジュール地域圏の議長職を辞して、ニース市市長に復帰すると発表。本人はマクロン政権に協力する可能性を否定しているが、時期が時期だけにこの発表は様々な憶測を呼んでいる。エストロジ氏は、共和党がどのみち空中分解するのは避けられないと見て、今のうちに脇に退いて、再編の機運が熟したら、マクロン新大統領に合流する保守グループの番頭役になることを狙っているという見方もある。

極右FNの地力
選挙戦の行方は、政界再編という横波もあって予測が難しいが、大統領選の結果を下院の小選挙区ごとにみると、極右FNの地力はかなり大きいことがわかる。マリーヌ・ルペン候補は、第1回投票では577選挙区中216選挙区でトップ。決選投票でも45選挙区でマクロン候補を上回る得票率を達成した。得票率が45%を超えた選挙区も66を数えている。これらの選挙区では成り行きによって極右の候補が勝利を収める可能性もある。なお、改選前の極右の議席は3(FNが2議席、元FNが1議席)となっている。