大統領選:二代目マリーヌ・ルペン候補の挑戦

Share on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterEmail this to someoneBuffer this page

5月7日に投開票日を迎える大統領選の決選投票は、マクロン候補(「アン・マルシュ」)と極右FNのマリーヌ・ルペン候補の一騎打ちとなった。
極右候補の決選投票進出は2002年に前例がある。この時は、現職のシラク大統領(当時)と、マリーヌ・ルペン候補の父親であるジャンマリー・ルペン氏との対決だった。ルペン候補の進出は誰も予想しなかった大珍事であり、当時は国民に大きな衝撃を与えた。極右阻止の大同団結が形成され、シラク大統領は極右とまともに張り合うのは問題外として、テレビ討論には応じなかった。政策議論やキャンペーンもなされず、決選投票ではシラク大統領が80%を超える得票率で再選を果たした。
しかし、当時と今回はかなり状況が異なる。マリーヌ・ルペン党首の下で、FNは支持者の裾野を広げており、欧州議会選挙などでは得票率首位の政治勢力にまで成長している。マリーヌ・ルペン党首の大統領選出馬は2012年に続いて今回が2回目だが、得票率・得票数とも極右候補として過去最高を更新。極右の拒否はもはや自明のことではなくなった感があり、「喧嘩せず」と言ってはいられなくなった。決選投票に向けては、5月3日にテレビ討論が行われ、両者が火花を散らすことになる。
マリーヌ・ルペン候補は48才。マクロン候補の「アン・マルシュ」がスタートアップ企業とするなら、父親のジャンマリー・ルペンから引き継がれた「国民戦線(FN)」はいわば家族経営の中小企業で、マリーヌ・ルペン候補はさしずめ二代目、相続者であろう。ただ、父親からのバトンタッチは波乱含みで、法廷闘争の大喧嘩を経て、「名誉党首」の父親を追い出し、党を手中に収めたという経緯がある。反ユダヤでビシー政権(第2次世界大戦時の対独協力政権)への郷愁をあらわにする剥き出しの人種差別主義者である父親に対して、「ソフト路線」を信条とし、移民排斥の党是を時代のトレンドに合わせて展開する(標的をユダヤ人からイスラム教徒に移すなど)ことで、支持の裾野を広げることに成功。家業を大きくした二代目当主ということになる。
マリーヌ・ルペン候補は大学を卒業後、1990年代には弁護士を務め、それに相前後して、地方議員や党の職員などとして政治の道を進んだ。FN内部で繰り返された権力闘争の中で徐々にポジションを高め、2004年からは欧州議員をはじめとする議員職を歴任。2011年1月に党首に就任した。現在の夫はやはり欧州議員や副党首などを務めるルイ・アリオ氏。