大統領選:マクロン候補とマリーヌ・ルペン候補が決選投票に進出

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大統領選の第1回投票の投開票が23日に行われた。エマニュエル・マクロン候補(「アン・マルシュ」)がトップとなり、極右FNのマリーヌ・ルペン候補(女性)との間で5月7日に決選投票を争うことが決まった。
開票率97%での速報値では、マクロン候補が23.9%、マリーヌ・ルペン候補が21.4%となった。ルペン候補がトップで折り返す可能性もあったが、マクロン候補が明確な差をつけてトップに立った。以下、共和党のフィヨン候補が19.9%、左翼党所属のメランション候補(「不服従のフランス」)が19.6%となり、激しい3位争いを演じた。社会党のアモン候補は6.3%となり、歴代の社会党候補の中でも格段に低い得票率で惨敗を喫した。6位の保守デュポンテニャン候補(「立ち上がれフランス」)は4.7%とかなりの得票率を達成。共和党のフィヨン候補に失望した層の支持が流れ込んだ可能性がある。以下は得票率が1%前後とごく低く、中道ラサール候補が1.2%、極左NPAのプトゥー候補が1.1%、EU離脱派のアスリノー候補が0.9%、極左LOのアルトー候補が0.6%、EU離脱派のシュミナード候補が0.2%だった。投票率は78.23%に上り、予想されていたよりもはるかに高めの数字となった。
マクロン候補は23日夜、支持者を前に、決選投票に向けてフランスを結集することを目指すと述べて、敗北した候補らの支持者に手を差し伸べた。対するルペン候補は、オランド政権で経済相を務めたマクロン候補を旧体制の代表格と位置づけ、真の政権交代を目指して、フランスの民衆に支持を呼びかけると気炎を上げた。極右FNの候補の大統領選決選投票への進出は、マリーヌ・ルペンの父親に当たる先代のジャンマリー・ルペン候補(2002年)に続いてこれが2度目だが、先代に比べて支持率ははるかに高く、極右支持が国民の一定層において定着したことを改めて印象付けた。2002年の大統領選では投票率が低く、これが極右台頭の一因となったが、今回の選挙では得票率はかなり高く、その中で手堅い得票率を確保できたことは特筆に値する。ただ、投票率の上昇は、極右勢力の台頭への警戒感が背景にあるとも考えられ、マクロン候補が予想以上の差をつけてトップになったのも、それが一因とみることもできる。
共和党のフィヨン候補は、架空雇用疑惑など一連の事件に最後まで祟られた格好で、結局は支持率は大きく伸びなかった。フィヨン候補は23日夜、敗北の責任はすべて自らにあると言明。決選投票においては、不本意ではあるが、極右を阻む目的でマクロン候補に投票すると言明。その上で、保守中道の有権者らに向けて、6月に行われる総選挙においては一丸となって勢力を保つことが大切だとして、マクロン候補になびかず、保守中道の一体性を保つよう呼びかけた。他方、社会党のアモン候補も同日夜に、マクロン候補への投票を呼びかけた上で、社会党の復活に向けた努力を呼びかけた。右派と左派の主要政党が揃って決選投票進出に失敗したのは、第5共和政が始まって以来でこれが初めてで、フィヨン候補については事件という特殊事情があるにせよ、既成政党に対する不信の念が国民の間に広く浸透していることをうかがわせた。左翼のメランション候補がフィヨン候補に迫る得票率を獲得したのも、有権者の間にある同じ空気を反映していると考えられる。なお、メランション候補は決選投票に向けた指示を支持者に対して行わず、極右阻止やマクロン候補支持の表明をしなかった。ただし、メランション候補を担いだ共産党はマクロン候補支持を表明した。
いずれにせよ、保守中道と左派の両陣営とも、マクロン候補の磁力に抗い、自陣営をどう固めてゆくかが焦点になり、それに向けた動きが政局の最大の関心事になるだろう。逆に、マクロン候補は、決選投票での勝利は安泰であろうが、その後の政権運営の基盤を固めるために、左派、右派、中道の3大勢力をどれだけ切り崩せるかがポイントになる。