ブリュッセルに残忍ストリートアート、古典作品を引用

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ブリュッセルの街に残忍なストリートアート作品が出現し、論争となっている。モレンベーク市との境界に位置するフランドル門の近辺には、男が刃物で別な男の首を切ろうとしている場面を描いた壁画が出現。それを止めようとしているように見える腕だけが横から出ているのが見えるという構図で、夜間に一気に制作されたものとみられている。ブリュッセル・ミディ駅近くのブリジティーヌ通りには、裸の男が足首に縄をつけられ、逆さに吊るされているという絵が出現した。
いずれも残酷な場面を描いた作品であり、イスラム過激派によるテロ事件の記憶が新しいこともあって、ブリュッセル都市圏議会などには早期の消去を求める動きがある。その一方で擁護派もある。いずれも確かな力量を示す作品であるにとどまらず、それぞれが古典を引用した手の込んだ作品であることが判明しているためで、例えばフランデレン地方政府のガッツ文化相は、芸術表現は自由だとして、謎の画家を擁護している。斬首の場面は、カラバッジョの「イサクの犠牲」の引用であり、神に命じられて息子イサクを犠牲に捧げようとまさに刃物を振り下ろそうとするところを天使が制止するという、旧約聖書の場面が引用されている。逆さ吊りの男の方は、アムステルダム美術館所蔵の「デウィット兄弟の死体」という絵画の引用であり、17世紀にオランダ共和国の指導者だった兄弟が民衆に虐殺された姿を描いたものだが、民衆を扇動したのはコルネリス・トロンプという名前の男だったといい、米国のトランプ新大統領を念頭に置いたものと考えられる。いずれも時事性に敏感な、政治的なメッセージを帯びた作品であることは間違いない。

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