ルーアン郊外で教会襲撃事件、「イスラム国」が犯行声明

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ルーアン郊外のサンテティエンヌデュルブレー市で7月26日午前、教会が2人組の男に襲撃を受ける事件があった。司祭が死亡、信者の1人が重傷を負った。犯人の2人は警官隊により射殺された。
事件があったのは同市市内のサンテティエンヌ教会(カトリック)で、ちょうどミサが行われていた。犯人の2人組は覆面をして刃物などで武装、教会内に押し入り、信者らを人質に立てこもった。このときに、助任司祭のジャック・アメル神父(85)は刃物で首を切られて死亡、もう一人の女性信者がやはり刃物で負傷して重傷を負った。逃げた修道女の知らせを受けて特殊部隊が教会を包囲、犯人2人は正面から飛び出してきたところを射殺された。
「イスラム国」は同日の午後中に、今回の事件について犯行声明を出した。警察発表によると、犯人らは刃物3本と拳銃1丁を所持していた。犯人のうち一方の身元は、市内に住むアデル・ケルミシュ(19)と判明。警察は家宅捜索を行うと共に、ケルミシュの関係者1人を逮捕した。ケルミシュはシリア渡航を2回に渡り企てており、2015年5月に逮捕され、10ヵ月に渡る勾留後、去る3月に保釈されていた。この件でケルミシュは、治安に脅威を及ぼす要注意人物を網羅した「Sファイル」に登録されており、渡航未遂の件では裁判を前に、外出制限と警察署への定期的な出頭、位置確認の発信機着用などの義務を課されていた。サンテティエンヌデュルブレー市では、数年前に聖戦派の組織が摘発されたことがあり、その絡みでケルミシュも過激化したものと考えられる。もう一方の犯人の身元については27日朝時点ではまだ発表されていない。また、「イスラム国」から具体的な指令を受けての犯行か、自主的な発案による犯行であるかなど、不明な点も多い
教会を狙ったテロ事件としては、昨年に逮捕された人物がパリ郊外ビルジュイフ市内の教会を狙ったテロを計画していたことが判明したという前例があるが、実際に実行されたケースはこれが初めてで、カトリックの信者らを中心に衝撃を与えている。国内には、キリスト教の教会が5万ヵ所(うちカトリックが4万5000ヵ所)、ユダヤ教寺院が717ヵ所、イスラム教モスクが2500ヵ所を数え、その警備を網羅的に行うことはできないのが実情で、その意味でも事件が突き付けた課題は大きい。
オランド大統領は同日昼過ぎにカズヌーブ内相らを伴って現地を訪問。同日夜にはテレビで国民向けメッセージを放送し、法律の定めに従って、治安確保のための最大限の努力を行うと約束した上で、超法規的な対応をするのは民主主義の破壊にほかならず、それこそテログループの目的だと言明。国民に対して、今後も長期に及ぶはずのテロとの戦争に勝利するため、団結と結束を呼びかけた。今回の事件をきっかけに、極右政党「国民戦線(FN)」は、政府のこれまでの無策が招いた結果だとして政府の対応を批判。保守野党の共和党からも、大統領選への出馬を準備するサルコジ党首(前大統領)などから、強力な対策の導入を求める声が上がっている。