バカロレア試験始まる

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15日にバカロレア(高校卒業資格)試験が始まった。バカロレアは国家試験で、フランスでは大学入試がない代わりに、バカロレアに合格しないと大学には入れない。合格率は8割を超えており、「持っていないとろくなことにならないが、持っていれば安泰ということはない」という微妙な資格である。大学入試がないから平等社会かというとそういうことはまったくなく、エリート養成は専ら、グランゼコールと呼ばれる教育機関で行なわれ、こちらには名門になるほど難しい選抜試験がある。
試験は哲学で始まるのが伝統になっている。試験時間は4時間で、小論文など複数の出題から1つを選択し、まとまった量の文章を書いて提出することになる。今年の出題の一つは、「より少なく働くとは、よりよく生きることだろうか」というもので、労働法典改正法案で高校生も巻き込んだ抗議行動が続いている時節柄、特に注目された。関心のあるテーマで日頃の主張をのびのびと展開できて好都合、のような気もするが、実は哲学の小論文試験とは自分の主張を自由に書くコーナーではなく、何を答えてもよいように見えてもやるべきことはきっちり決まっている。この出題なら、例えば、労働時間は短いほうがよいという主張をまず展開し、ついで労働とは人間の生きる理由そのものだという主張を展開し、最後にその両方の主張を折り合わせる形で、よりよく生き、また働く道があることを示すという3部構成が標準的で、数ある哲学者を引用しながら話を組み立ててゆくのが芸の見せ所になる。とりわけやってはならないのは、自分の個人的な主張を一方的に展開することであって、旬のテーマにも一定の距離を置いて様々な立場を思いなすことができる思考力が点数を左右することになる。