仏政府、PSA株を売却か

仏経済紙レゼコーは5月25日付で、仏政府が自動車大手PSAの株式を部分的または全面的に売却する可能性を検討していると報じた。PSAは2012年に倒産寸前に追い込まれたが、政府の支援を得て経営を再建し、2015年には5年ぶりの黒字化を達成した。PSAは2014年春に増資を行い、この機会に、中国の東風汽車とも資本提携を結んだ。増資を引き受けた東風汽車と仏政府が8億ユーロずつを出資し、PSAの創業家であるプジョー一族と並ぶ主要株主となり、3者が13.7%ずつの出資率を維持することで合意した。その後の業績改善に伴いPSAの株価は上昇し、政府の持ち株の価値は2倍の15億ユーロ程度に増加している。政府は現在、エネルギー部門の国営企業(アレバやEDF)の大型増資を行う必要に直面しており、PSA株を売却して、資金調達の一助とすることを検討している模様。
PSAの経営が改善しており、国は歴史的な株主ではないので撤退しやすいことなど、PSA株は政府にとり好都合な点が多い。しかし、政府の出資には、東風汽車によるPSAの買収を牽制するという意味合いもあり、現時点で持ち株を売却すれば、まだ財務基盤の脆弱なPSAを見放して、中国資本により買収されるリスクに晒したとの謗りを受けるリスクもある。来年に大統領選挙と総選挙を控えて、政府としては、政治的な影響にも配慮せざるを得ないとみられている。政府は出資率が10%を割り込まない限り、監査役会で2議席を保持できるので、部分的な売却に留めるという選択肢も考えられる。なお、主要3株主の合意にはスタンドスティル条項があるが、株式の買い増しを行う場合には他の株主の同意が必要だが、株式を譲渡するのは自由だという。