パリ同時テロ事件、その後の展開

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■サンドニに潜伏していた容疑者、2人が死亡
18日未明から正午前後にかけて、同時テロ事件の首謀者と目されるアブデルハミド・アバウド容疑者らが潜伏していると思しきサンドニの集合住宅に警察が突入を試みた。容疑者と警察の間で銃撃戦があり、2人の容疑者が死亡し、7人が逮捕された。死者のうち1人は若い女性で、自爆した。7人の逮捕者のうち、5人が事件に直接に関与したとみられる。正午過ぎの内相とパリ共和国検事の発表によると、容疑者の特定はまだできておらず、パリ共和国検事が午後遅くに新たな発表を行う予定。
アブデルハミド・アバウド容疑者は当初はシリアに滞在中とみなされていたが、警察は同容疑者がサンドニに潜伏しているとの情報を得て、逮捕を試みた。同容疑者が実際にアパルトマン内にいたかどうかは未確認。
■テロリストの数は8人ではなく14人か
13日夜に起きたパリとその北郊のサンドニで起きた一連の同時テロ事件の犯人は8人で、7人が死亡し、残るサラ・アブデスラム容疑者が逃走中とされていたが、その後、パリ市内10区・11区の銃撃事件にもう1人の容疑者が関与していていたことが判明した。
また犯人グループが事件前に滞在していた2カ所の宿泊所が発見された。一つはボビニー(セーヌサンドニ県、パリの北東郊)、他方はアルフォールビル(バルドマルヌ県、パリの南東郊)。
サンドニで18日に死亡した容疑者や逮捕された容疑者も加えると、現時点では、事件に関与したテロリストの数は14人だと推定されている。
■欧州連合(EU)、フランスへの支援を約束:財政規律の緩和にも理解
EUのモゲリーニ外務・安全保障政策上級代表は17日、「フランスはEU全体の援助を求め、全ての加盟国がこれを承諾した」と発表した。これに先立ち、ルドリアン仏国防相はブリュッセルでのEU国防相理事会で、EU基本法の第42.7条の適用を要請した。同条項は、自国内で武力攻撃を受けた加盟国に対して、他の加盟国が保有する全ての手段を用いて援助を提供する義務を定めている。
具体的には仏政府がどのような援助が必要かを提示し、各加盟国が自国が提供できる援助を申し出る予定。上級代表は支援は二カ国間関係のレベルで実施されるもので、EUの共通外交・安全保障政策とは無関係だとした。
フランスはサヘル、中央アフリカ、レバノンなどでの治安維持に関するEU支援ミッションのために、ほぼ単独で兵員を派遣してきたが、これらのミッションに対する他のEU加盟国の参加を求めるとみられている。また過激組織「イスラム国」の活動に関する情報交換の強化なども要求する見通し。
フランスはまた、治安・司法関連の予算増強の必要性を理由に、EUの財政規律を順守できないことを明らかにして、理解を求めた。欧州委員会のモスコビシ委員(経済問題担当)は「市民の保護が絶対的な優先事項である」と認め、テロ対策がフランスの財政運営に及ぼす影響は現時点では予測できないが、「安定成長協定は硬直した愚かな協定ではなく、あらゆる状況に対応できる」と、理解を示した。
■「イスラム国」対策で仏露米が協力
オランド大統領はロシアのプーチン大統領と電話で協議し、「イスラム国」に対する対策での協調を要請した。両大統領は11月26日にモスクワで会談するが、プーチン大統領はすでに地中海に駐留するロシア海軍に対して仏空母「シャルルドゴール」(19日にシリア近海に向けて出航)とコンタクトをとるように指示し、また情報機関同士の協調にも応じる方針を示した。
ロシアとフランスの関係はウクライナ危機をきっかけに冷却し、またロシアはシリアのアサド政権を支持し、シリアでの空爆では「イスラム国」よりも反政府軍を標的にしてきた。しかし、10月31日にエジプトで起きたロシア航空機の墜落(224人が死亡)が「イスラム国」によるテロ攻撃だった可能性が強いことなどから、方針を変更しつつある。
オランド大統領は11月24日にワシントンでオバマ米大統領とも「イスラム国」対策について会談する。ケリー米国務長官もフランスを訪問し、「イスラム国」対策に関する米仏の軍事協力を約束し、また、ロシアとの協力にも前向きな姿勢を表明した。
■英国民、サッカー代表戦でフランスへの連帯を表明
17日の夜、ロンドンのウェンブリー・スタジアムでイングランドとフランスの代表によるサッカーの親善試合が行われた。1500人の仏人サポーターだけでなく、7万の大観衆がフランス国歌を斉唱するなど、テロの被害にあったフランスへの強い連帯を表明するイベントとなった。試合は2対0でイングランドが勝利した。
他方で、独ハノーファーで予定されていたドイツとオランドの代表戦(親善試合)は、テロ攻撃のリスクがあるとの懸念から、土壇場になって中止された。デメジエール独内相は「中止は難しい決断だった」としつつ、試合当日になってテロ攻撃の兆候が増したと説明した。報道による仏情報機関が独情報機関にリスクがあることを警告したという。試合の開催はドイツのテロに対する抵抗を象徴するものだと受け止められていただけに、中止は国民にショックを与えている。