パリ同時テロ:ベルギー経由の犯行の線が有力に

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13日にパリで発生した同時テロで、16日時点で死亡した7人の犯人のうち4人の身元が判明した。ベルギーに拠点を持つフランス国籍の者たちで、ほとんどがシリアへの渡航歴がある者と見られている。これまでの捜査から、シリアの「イスラム国」の幹部と目されているベルギー人のアブデルハミド・アバウドが首謀者である公算が強まっている。
テロは30分ほどのうちに6ヵ所で発生。パリ北郊の競技場スタットドフランス付近で3人が自爆テロを行ったほか、パリ東部の10区及び11区内で、飲食店4ヵ所(ビシャ通り、フォンテーヌオロワ通り、シャロンヌ通り、ボルテール通り)と同地区のコンサートホール「バタクラン」が標的になった。犯人は、バタクラン内で3人が自爆により死亡、あとは、ボルテール通りで自爆テロを行った者が1名で、合計7人が死亡した。「イスラム国」は犯行声明の中で、8人のグループによる攻撃だと明らかにしており、あと1人の行方がポイントになっていた。
これまでの捜査では、バタクランを襲撃した3人のうち2人の身元が、イスマエル・オマール・モステファイ(29)とサミ・アミムル(28)と判明。前者はフランス当局が要注意人物のリスト(いわゆる「Sファイル」)に登録していた人物で、シリアに渡航したことがあると考えられている。アミムルはパリ北郊の出身で、テログループに協力した容疑で、仏当局による指名手配中だった。
スタッドドフランス付近で自爆テロを行った3人のうちの1人は、ビラル・ハドフィ(20)と判明。ハドフィはベルギー在住のフランス人で、2014年にシリアに渡航したと見られており、ベルギー当局による指名手配の対象となっていた。もう一人は、アハマド・アルモハマド名義のシリアのパスポートを所持しており、死体の指紋は、このパスポートの所持者がシェンゲン協定国内(この場合はギリシャ)に入った時に採取されたものと一致した。詐称である可能性もあり、死亡したのが本当にアルモハマドであるのかは判明していないが、難民にまぎれてギリシャに渡り、バルカン半島を経由してフランスまで来たのは間違いないと考えられる。
身元が判明したもう一人は、ボルテール通りで自爆テロ(人質事件に発展したバタクランを除くと最後の攻撃)を行った犯人で、ブラヒム・アブデスラム(31)と判明した。弟のサラハ・アブデスラム(26)が、バタクランを襲撃したグループが乗り捨てたレンタカーの借主であったことから身元が早い段階で確認できた。ブラヒム本人も、飲食店襲撃を行ったと見られるグループが使った別のレンタカー(東郊モントルイユ市内で15日に発見)の借主であったことが後に判明した。サラハ・アブデスラムは犯行に加わった後、ベルギーから来た仲間2人の車でベルギーに逃れたことが、国境検査の記録から判明しており、仲間2人はベルギー警察により逮捕されたが、サラハ本人の足取りは掴めておらず、当局は指名手配で足取りを追っている。
アブデスラム兄弟はフランス国籍を持つが、家族と共にブリュッセル郊外のモレンベーク市に居住している。同市は、シリアとつながりがあるイスラム過激派の拠点として知られ、アブデスラム兄弟は首謀者と目されるアブデルハミド・アバウドと、アバウドが同市に居住していた時代から関係があった。アバウドは、このところフランスやベルギーで発生した一連の事件(高速鉄道タリスの襲撃事件、パリ南郊ビルジュイフ市の教会襲撃未遂事件、ブリュッセルのユダヤ博物館襲撃事件など)の黒幕と疑われており、去る8月に仏国内でテロ計画容疑で逮捕されたレダ・ハメ容疑者の事件では、同容疑者が、シリアのラッカ近郊でアバウドと会い計画を指示されたと供述している。ベルギーはまた、イスラム過激派が用いる武器の集散地とも目されている。テロ組織が国際的な展開を通じて、各国当局の連携の間隙を突くことを狙っているのが窺われる。