テロ事件関連続報

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本日の仏主要紙の報道から
◆パリで13日夜に同時多発テロ:自爆テロと飲食店を狙った機関銃掃射、コンサートホール「バタクラン」の襲撃が相次いで発生/15日時点の集計では死者132人、集中治療を受ける重体42人 Les Echos-P.1.2-12 Le Figaro-P.1.2-20 LIBERATION-P.1.2-21
■捜査の状況
捜査当局の発表によると、犯人は3つのチームに分かれて連携しつつ行動したと思われ、「7人のテロリストが死亡した」。より早い発表では8人のテロリストが死亡したと報告されていたが、7人に修正された。犯人は全員が同様の爆発物を身にまとっており、最初から自爆する覚悟で攻撃を決行したと考えられる。なお過激組織「 ISIL(イスラム国)」は14日の犯行声明で「8人」と発表していた。
コンサートホールで自爆した犯人の1人については、指の残骸が発見され、指紋から1985年エソンヌ県生まれのフランス人(氏名は「オマール・イスマイル・モステファイ」)であることが判明した。2004年から2010年にかけて8回の前科があるが、刑務所に収監されたことはない。ただし、2010年に「過激化」が認められるとして当局にマークされていた模様。父親や兄弟などの近親者が現在取り調べを受けている。
また、犯行に使用された2台の黒塗りの自動車(車種はセアトとポロ)のうち、バタクランの近くに駐車されていた1台(ポロ)はブリュッセル在住のフランス人サラ・アブデスラム容疑者がベルギーでレンタルしたものであることが判明し、協力を要請されたベルギーの捜査当局は14日午後に3人の容疑者を逮捕した。サラ・アブデスラム容疑者自身は逃走中。フランス当局は、これらの容疑者についてはマークしていなかったとしている。
カフェやレストランの襲撃で用いられた自動車(セアト)のほうはパリ東郊のモントルイユで発見された。車内からは自動小銃が見つかっている。
▽仏警察は、ベルギーでテロの準備が進められてきたとの見方を強める。20年来テロリストのベルギー拠点となってきたブリュッセル郊外モレンベーク市ではベルギー警察による捜査が展開。これまでに特定された3人(仏人)の実行犯のうち2人はベルギーに在住していた。ベルギー生まれの仏人サラ・アブデスラム容疑者は現在国際指名手配中で、当局は顔写真を公開して情報を募っている。
■政府の対応
▽オランド大統領は、仏全土で宣言した非常事態を3ヵ月延長できるよう法改正する意向を明らかに。現在は、国会の議決なしでは最大で12日間の延長が可能。本日午後には例外的にベルサイユで上下両院合同会議を開き対策を説明する予定。
▽仏軍は、「イスラム国」(ISIL)のシリア拠点ラッカの空爆を開始。原子力空母「シャルルドゴール」をペルシャ湾に投入し、空爆を強化する方針。ルドリアン仏国防相は15日にカーター米国防長官と電話で協議。ISIL討伐に関して「具体的な措置」を講じ、両国軍の協力を強化することで合意した。
▽バルス仏首相はあらゆる治安対策を検討するとして、右派からの提案を受け入れる用意があることを示唆。折しも国内では、1月におきたテロ以来の勤務時間の延長などを受けて、警察や司法からの政府の治安対策に対する抗議の声が高まっていた。
■政界の反応
▽仏保守野党・共和党のサルコジ党首は早くも15日に、治安措置の不十分を指摘して政府を非難。仏民放TF1のテレビ番組に出演して、独自の対テロ対策を発表した。共和党の次期大統領選候補者選びへの出馬を表明しているジュペ元首相は、国家の団結が優先としてサルコジ党首との見解の違いを示した。
▽極右政党「国民戦線(FN)」のルペン党首は、国境検査の強化の必要性を主張。テロと難民流入の関係性を強調した。
■経済への影響は
▽今回の同時多発テロが政治的な影響をもたらすことは確実とみられるが、現時点では、経済への影響は限定的なものに留まるとの見方が大勢を占めている。これまでに発生した欧米での大規模テロによる経済への影響はいずれも軽微なものに留まっている。欧州で発生した前回の大規模テロである2004年のマドリッド同時多発テロの際にも、2005年のロンドンでのテロの際にも、経済活動への永続的な影響は見られなかった。消費減退が見られたのはテロ発生後数日間だけだった。2001年9月11日の米同時多発テロでも、株式市場は暴落したが、米経済への影響は殆どなかった。ただし、今後もテロが続いた場合には、大きな影響が出る可能性は残る。むしろ、国防及び諜報活動への予算増が仏財政に与える影響が懸念されているが、仏経済は、第3四半期に0.3%の成長を見せており、2015年通年では、成長率は政府予測の1%を上回る1.1%となる公算が高く、エコノミストの間では、現時点ではそれほどの懸念はないとの見方が大勢を占めている。
▽マクロ経済的な影響はそれほどではないと見られているが、既に旅行・観光業界では影響が出始めており、既に14日朝から、主に米国人観光客による滞在予定短縮が見られた。また、今後数週間に関しては、会議のキャンセルや延期などにより、ホテル業界では、8-10%の売上減に繋がるとの見方が出されている。ただし、大型イベント開催を業務としているサロン・GLイベンツでは、仏政府がCOP21の開催維持を決めたことなどから、大型見本市の開催維持のケースが目立っており、影響は限定的なものに留まるという比較的楽観的な見方も出されている。
■本日の動き
▽パリの美術館・劇場は15日、政府からの勧告にしたがってほとんどが閉館を決めた。ルーブル美術館は現在、特別な治安措置のもとで再開。学校は週明けの今日、通常通り開校。正午には1分間の黙祷が捧げられる予定。