畜産業の収入低下問題:抗議行動も本格化

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オランド大統領は7月18日、ツールドフランスの観戦のために訪れたロゼール県で、畜産業の収入低下問題に絡んで、食品小売大手の各社に対して、生産者に支払われる価格の引き上げに取り組むよう呼びかけた。
畜産業は全般的に、生産物の価格低下に苦しんでいる。乳業の場合は、欧州連合(EU)の牛乳生産割当の廃止に伴い、域内外国からの牛乳の輸入が大幅に増えて、価格を押し下げる展開になっている。生産割当廃止を見込んで、増産体制を整えた業者もあったが、そのために短期的な融資を受けた業者の場合は、牛乳価格の低下に伴い、資金繰りの困難に直面している。牛肉生産における困難は、より長期的かつ構造的な競争状況の変化に由来しているが、足元では、輸出の60%の仕向け先であるイタリアとギリシャの需要後退に苦しんでいる。ギリシャ向け輸出は、債務危機の影響で6月から事実上停止しており、イタリア向けの輸出は、経済危機の影響が浸透し、消費量そのものが減少している(年間1人当たりの消費量は26kgから22kgへ減少)上に、ポーランド産の安価な牛肉との競合も強まっている。豚肉生産の場合はさらに厳しい状況にあるといい、生産者側では、環境基準への適合化で投資を迫られたことが響いていると主張している。
農業省は、2月の時点で設置した危機対策チームを通じて畜産業者の状況を調査したが、その集計結果によると、10%の畜産業者が経営難に直面しており、うち5-7%は倒産寸前という結果が出ている。農業省は、業種により、また地域により、状況にはかなりのばらつきがあるとも指摘している。
オランド大統領の呼びかけに対して、小売業業界団体の側は、流通業者は直接に農作物を仕入れるのではなく、食品メーカーを通じて仕入れていると主張。危機対策でこれまでに行った約束はすべて遵守しており、食肉販売では赤字さえ出ていると主張。生産から流通までのすべての段階で価格動向を正しく把握してもらいたいと反論している。
なお、オランド大統領の発言に前後して、畜産業者による抗議行動が本格化しつつある。バス・ノルマンディー地域圏のカーン市では、19日夜から畜産業者(豚、乳牛、肉牛)が幹線道路の封鎖などの実力行使を開始した。