EADSインサイダー疑惑で無罪確定:法令の枠組み整備が課題

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パリ地裁は5月18日、EADS(現エアバス・グループ)を舞台にしたインサイダー取引疑惑の刑事事件訴訟を打ち切ることを確認した。この件では、仏AMF(金融市場監督機関)が処分を見送る「無罪判決」を下しており、今回の地裁の決定で事件は完全に決着した。この事件では、EADSの株価下落を招く内部情報を踏まえて、経営幹部らが事前に自社株を処分していたとの疑いで、フォルジャール元共同会長ら9人が責任追及を受けたが、全員の無罪がこれで確定した。
AMFは調査の上で、処分見送りを決めたが、これに続いて検察当局は刑事事件での起訴を準備していた。しかし、その後、欧州人権裁判所が2014年3月に、同様の別の案件について「一事不再理」の原則の適用を認める判決を下したのに続いて、仏憲法評議会も2015年3月に、やはり別な案件で同様の判断を示し、起訴を認めない方向で判例が固まっていた。これを踏まえて、パリ地裁は訴訟の打ち切りを確認した。「一事不再理」とは、既に判決が確定した刑事事件で再び裁判を行わないとする原則だが、憲法評議会らはこれを広く解釈し、行政機関であるAMF等の処分と刑事訴訟の両方を行うことを禁じる判断を下していた。
これを受けて、インサイダー取引の追及に関する新たな法令の枠組み整備が課題として浮上している。AMFのラメクス長官は、各案件について2ヵ月間の協議期間を設定し、検察当局とAMFの間でいずれが追及を行うかを決めるという形にすることを提案。長官は同時に、検察当局が事件を扱おうとするケースが増えることに懸念を表明し、適正な役割分担の確立が必要との見方を示している。